いやあ、3月くらいから、やたらとビットコインのメモリプールが詰まるようになってきて、送信手数料が10satoshi/vbyteを超える事態となっています。
このブロック788695なんか送信手数料が 606~8,667satoshi/vbyteになっています。150vbyteのトランザクションに換算すると90,900~1,300,050satoshiで、1BTC400万円なら3,636~52,002円の送金手数料となり、銀行ATMの振込手数料を超えちゃってます。高騰しすぎですよね。
この高騰は、どうやら、taproot を利用した ordinal protocol による、BRC-20トークン取引の急増が原因のようです。
時価総額トップのトークンはこれ、ordi です。なんと1億ドルを突破しております。140億円です!
トランザクションを拝見しますと、こんな感じ。
これはP2TRという送金先アドレスが指定されており、トランザクションの生データ(witness部分の抜粋)はこんな感じです。
209e2849b90a2353691fccedd467215c88eec89a5d0dcf468e6cf37a
bed344d746ac0063036f7264010118746578742f706c61696e3b636
861727365743d7574662d38004c5e7b200a20202270223a2022627
2632d3230222c0a2020226f70223a20226465706c6f79222c0a2020
227469636b223a20226f726469222c0a2020226d6178223a2022323
1303030303030222c0a2020226c696d223a202231303030220a7d68
これをASCII変換すると、次の文字列が含まれておりました。
text/plain;charset=utf-8L^{
“p”: “brc-20”,
“op”: “deploy”,
“tick”: “ordi”,
“max”: “21000000”,
“lim”: “1000”
}
json形式で 94バイトの文字列が埋め込まれておりました。何でしょう、これは!
taprootが導入された BIP341 を拝見しますと、SigMsg()という関数が出てきました。最長206バイトのメッセージが埋め込めるようです。 本来は署名検証のための領域の様ですが、一種のabuseで文字列記録用に使っているのです。文字列だけでなく、100kbなどの画像や音楽なども記録してビットコインNFTとして流通させることもできるようです。
上記トランザクションでは、161vbyteのうち94byteがメッセージ記録用に使われています。メッセージ率94÷161=58パーセントでした。
これに対して、OP_RETURNのメッセージ率は、
たとえばこちらのトランザクションでは、192.5vbyteのうち72byteがメッセージ記録に使われていました。メッセージ率72÷192.5=37パーセントになっています。SigMsg()を使った方が2割程多くの文字列(データ)を埋め込めるのです。
しかし、これ (ordinal protocol) は、bitcoincore の正式文法ではありません。多くのブロックチェーンエクスプローラーでも読み込むことはできません。専用ソフトを使わないと、あるいはバイナリ解析ソフトを使わないと「見る」ことができないのです。管理人としては、従来通り、正式文法であるOP_RETURNを使って書き込みして行きたいなと思いますが、BRC-20のせいで手数料が高騰しちゃっています。さあ、どうしましょう。まあ、待つしかないですかね。
イーサリアムのERC-20のCryptoKitties事件では、2017年12月にトランザクションが6倍に急増し、全イーサリアムの11パーセントがキティちゃんに占有され手数料が高騰したことがありましたが、この時も2か月ほどで鎮静化しております。
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